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[ 権現・青年小屋 オリジナル帆布ザック ]

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  どの山にも表情があり個性がある。そして想いを寄せる度に心を癒してくれる山がいくつかある。
北アルプスから南アルプスへと続く主稜線からちょっと目を転じると、関東よりに日本アルプスを凝縮したような八ヶ岳がある。
  若かりし頃に、この山の主峰を縦走した際、なんとも言えない懐かしさにとらわれて、何度も足を運んだ。それは、故郷(四国)の石鎚山と重なり合う部分があったからかもしれない。
  その中でも特に最南端に屹立する

権現岳に魅かれたのは、 頂上直下に鎮座する権現小屋の佇まいと、 そこに棲んでいた住人に負うところが大きかった。
 夜の帳が下がり、食事の片付けも終わる頃、ギター演奏と歌と語りが始まる。この洗礼を受けた者の多くは、不思議と八ヶ岳詣でが始まり、その下の青年小屋にて、その当時70歳を超えた“ゲンジイ”さんの「呑めっし、呑めっしょー」のW洗礼を受ける頃には、八ヶ岳が生涯忘れらない山に変っている。
 そんな世界を通して知り合い、山行を共にしてきた若人達も、今は結構いい歳になってきた。30年という歳月は、人をそれぞれに老いさせてゆくが、未だに、当時のままにある山小屋に、私は昔日の懐かしい味と青年時代の熱き想いを感ぜずにはおれない。
 今これらの山小屋を守る“シュウサン”もまた、その良さを引き継ぎながらも、彼独自の世界を作っているのは、頼もしくもあり嬉しくもある。
 青年時代の懐かしさの凝縮された山、八ヶ岳。そしてその中でも特に、私のホットスポットとも言える権現岳。この頂に立ち、八ヶ岳の主峰と遥か南東に頂む富士の峰を眺めていると、おのずと心安らぎ、現実の気忙しさが氷解してゆくのは不思議である。それは“遊び”に没頭した者だけに与えられた至福の空間なのかもしれない。

(H13年9月 スポーツ報知に掲載)         

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